TSUMATABI SUPPORTER妻旅サポーター

TSUMATABI SUPPORTER 07
NOBUTAKA IGARASHI

妻旅サポーター:07 五十嵐 亘孝さん
サポーターテーマ:鬼押出し園

五十嵐 亘孝さん
妻旅の面白さを倍増させる、
「鬼押出し園」のストーリーテラー

毎年数多くの観光客が訪れる「鬼押出し園」。2016年に認定を受けた「浅間山北麓ジオパーク」のカギを握るスポットで、NHK『ブラタモリ』にも登場しました。そんなますます注目度が高まる鬼押出し園の魅力紹介や園内ガイドに従事するのが五十嵐さんです。鬼押出し園の起源、ジオパークとしての魅力、そして夫婦の旅へのオススメポイントまでを語っていただきました。

スキーから溶岩へ

鬼押出し園誕生のきっかけは、いまから230年以上も前、江戸時代中期に起きた浅間山の大噴火にまでさかのぼります。上空1万メートルまで噴煙が舞い上がる凄まじい噴火で、最後に流れ出た溶岩流がいまの鬼押出し園の原型を形成しています。そしていまから70年前に庭園として整備。上信越高原国立公園内に位置し、地球のパワーをまざまざと体感できる壮大かつ稀有な景観から、溶岩石の世界三大奇勝とも言われています。園名の「鬼押出し」は、「鬼」が暴れて岩を「押し出した」と当時の人々が考えていたことに由来します。

私はここに赴任してから、10年の時が経ちます。もともとは、長野県のスキー場で営業の仕事をしていました。人生でまったくの未知である「溶岩」の世界へ移ることが決まったとき、不安はありませんでした。

どんな対象であれ、最大限にそのものの魅力を高めていくのが自分の使命だと思っており、新たなチャレンジを前にワクワクしていたんです。しかし赴任直後に聞こえてきたのは「鬼押出し園って、岩と浅間山の景色だけだよね」「行こうと思いつつ、つい通り過ぎてしまう」といった声。たとえば、紅葉や雪景色の美しさに対する感動的な表現を耳にはしませんでした。そのとき、多彩な見どころがあるのにイメージや見られ方が固定化されている園の現状を変えたい、と強く思ったんです。とはいえ、どのように実行に移していくべきか、苦悩の日々が続きました。転機が訪れたのは、赴任してから5年が経つ頃、鬼押出し園を含む浅間山北麓エリアの「ジオパーク認定」をめざす動きが本格化したタイミングでした。



新生・鬼押し出し園

「建物」自体を新しくできないなら捉え方を新しくするしかない。「ジオパーク」になることは、鬼押し出し園へのイメージをガラリと変えるのにうってつけだと思いました。それは、この場所に見慣れた弊社のスタッフの意識改革さえもたらすかもしれない。ジオパークとは、ジオ(=地球)を学び、丸ごと楽しめる場所のこと。火山活動の痕跡がそのまま残る鬼押出し園は、ジオパーク認定をめざす浅間山北麓一帯の中でもとくに重要なスポットとなります。審査条件の一つとして、園内にパーク公認のガイドが必要でした。そこで私に声がかかり、ゼロからガイドの勉強と練習を始めたんです。いざガイドをやってみたら、お客さんがとても喜んでくれました。うれしかったですね。

そして2016年に見事、日本ジオパークに認定。鬼押出し園唯一のジオパーク公認ガイドとして、責任ある仕事に充実感を覚えています。勉強する中で気づいたのは、鬼押出し園は、園内だけでなく、それを取り巻く「環境」が素晴らしいということ。

キャベツやトウモロコシ、じゃがいもがこれほど美味しくなるためには、浅間山と嬬恋村の先人たちの営みがそのベースをつくりあげてきたこと。自然条件としては、標高の高さが強い甘みをもたらすこと。そんな奇跡が重なりあって、いまの村が潤っていること。鬼押出し園という「点」から嬬恋村という「面」へと視点をぐっと拡大させ、ガイドを展開していく。それによって、ここを起点とした「愛妻家の聖地・嬬恋村」の旅を心から楽しんでいただきたいと思うんです。「さっそく四阿山に行ってきます」「キャベツの見方が変わりました」…。そんな声をいただくことが、ガイドとして大きなやりがいを感じる瞬間です。



鬼押出し園の、ここに注目

私が行うガイドの一部を紹介します。ぜひ、夫婦で訪れていただきたいのは、園内中央に位置する「浅間山観音堂」です。その舞台の上から、浅間山から万座までの膨大な面積を誇る嬬恋村を一望し、絶景に圧倒されてください。ここで知って欲しいのは、嬬恋村の村名の由来です。「嬬恋」とは、古代日本の英雄・ヤマトタケルノミコトが妻を思い、「ああ、我が妻(つま)よ、恋(こい)しい」と泣き叫んだ伝説から名付けられました。その伝説の舞台である「四阿山」を遠くに確認し、その真反対の方面にある「愛妻の丘」へと目をやる。「愛妻家の聖地」の実態をビジュアルに理解することで、この村での「妻との時間をつくる旅」の意味合いが深まってくると思います。

また、園内の植生も注目ポイントです。若かりし頃にいらした方が再訪された際によく言われるのは「昔は、岩がもっと黒かったよね」と。その通りなんです。森は500年で完全再生するといわれますが、いまは噴火からちょうど250年近くの折り返し地点あたり。溶岩で黒一色だったこの大地から、緑豊かな森が再生されようとしている。

そんな「岩」と「緑」が融合する壮大な歴史の一瞬に、私たちは立ち会っている。いまやその植生から鮮やかな紅葉が始まり、人々を魅了。春夏秋冬、園内を回る際はぜひ植物の数々にも目を留めてみてください。このように、言葉やストーリーを軸に、切り口を変え、新しい光の当て方をして園の魅力を高めながら、今後は、たとえばワーケーションといった新しい園の使い方やイベントの提案も積極的に行なっていくつもりです。これからもうまれ変わり続ける鬼押出し園にどうぞご期待ください。そして、夫婦で来て、家族で来て、孫たちとまた来るような、世代を超えた思い出の場所になっていければと思います。


鬼押出し園 住所 : 群馬県吾妻郡嬬恋村鎌原1053
TEL : 0279-86-4141
公式ウェブサイトはこちら

[ 嬬恋村を訪れるご夫婦にメッセージ ]

2021年7月に鬼押出し園は開園70周年を迎えます。「独身のとき」「結婚をして」「家族でそろって」と、ご来園されるご夫婦の時間軸には様々な思い出があるかと思います。これからも続く浅間山の四季ある絶景が築く時間の中に、ご夫婦の思い出を刻みにご来園ください。

五十嵐 亘孝さん

妻旅サポーター07 :
五十嵐 亘孝さん nobutaka igarashi

鬼押出し園営業スーパーバイザー、鬼押出し認定ガイド。長野県東御市で育つ。(株)プリンスホテルにスキー場のゲレンデパトロールとして入社。長野オリンピックを境に営業職へ。現在は、鬼押出し園園地営業として従事。浅間山北麓エリアのジオパーク化構想がきっかけで、園内ガイドとしても活躍。鬼押出し園唯一のジオパーク公認ガイドである。鬼押出し園を起点とした夫婦の旅を応援すべく、日々新しい魅力を発掘中。