TSUMATABI SUPPORTER妻旅サポーター
TSUMATABI SUPPORTER 02
MOTOMI MATSUMOTO
妻旅サポーター:02 松本 もとみさん
サポーターテーマ:ものづくり
“村の顔”となる土産物づくり
2015年、キャベツ農家の松本もとみさんが立ち上げた嬬恋村の土産物ブランド「妻の手しごと」。「嬬恋キャベツ酢」「愛妻ダー」など、メディアからも注目を集める嬬恋オリジナルのお土産が次々に生まれています。そんな松本さんが村の土産物を作り始めたのはなぜか。いま、村について考えていることとは……。嬬恋村のために精力的な活動をつづける松本さんのまっすぐな想いを語っていただきました。
嬬恋ならではのお土産を
キャベツという特産品があり、観光地としても謳っている嬬恋村。それなのに、地元の素材を生かした、地元独自のお土産物がないのはなぜだろう……。私は、ずっと不思議で、残念で、もどかしかったんです。地域名を前面に出したよくある箱菓子ではなく、「これが嬬恋のお土産だよ」って、もらう方も渡す方もワクワクしたり、自慢したりできるようなお土産物が欲しかったんです。そんな私にとって転機となったのが、「キャベツ酢」との出会いです。キャベツ酢は、群馬県が中心となって開発した商品で、新しい売り手を探していました。そこに、「私がやります!」と手を挙げたんです。キャベツ酢をきっかけに村の土産物を自らプロデュースできるようになるだろう、ぜひやってみたいなと思ったんですね。
もともと嬬恋村内の女性たちが農閑期にいろんな工芸品をつくっているのを見ていて、その技術レベルの高さを知っており、お土産物として商品化できるのでは……と妄想していました。ちょうどいいタイミングでキャベツ酢の話がきたので、食品・飲料関係、あるいは工芸品を一つの同じブランドから売り出そうと決めました。こうして立ち上げたお土産物ブランド「妻の手しごと」から、その第1弾商品として「嬬恋キャベツ酢」を販売することになりました。
ゼロから切り拓いた商売人の道
パッケージをオシャレにし、新しい商品として生まれ変わった嬬恋キャベツ酢。さあ、あとはどう売るか……。思い切って商売の世界に足を踏み入れた私ですが、まったくの素人で営業経験もありません。名刺の渡し方といった社会人の初歩のところからスタートし、村の人の助けを借りつつ手探りで商売の基本を習得していきました。最初はナメられないようにと極度にかしこまりながら営業をしていて、どうにもうまくいきませんでした。
「私はただのキャベツ農家の主婦。商売のことは何もわかりませんが、よろしくお願いします」と等身大の自分で営業するスタイルに変えたところ、徐々にお客さんと打ち解けることができるようになり、ついには買っていただけるようになったんです。話を聞くと、旅館やホテルといったお客さんの方も地元で作ったお土産がずっと欲しかったという声を多くいただきました。
夏場、キャベツの収穫で忙しい時には納品を待っていただいたりと、農業をやりながらラベル貼りから仕入れ、販売までをひとりで手がける私を応援していただきました。いまでは年3000本を売り上げる商品となっています。
2018年1月には、妻の手しごと第2弾として、「愛妻家の聖地」と「キャベツ」という村の魅力を掛け合わせて生まれたご当地サイダー「愛妻ダー」を販売しました。私は、キャベツ酢をサイダーに配合する味の開発を行い、商品化し、これは年1万本以上を売り上げる商品となっています。そして、2018年には、工芸品も販売を開始し、当初頭の中にあった妄想が着々と現実化しています。こうしたビジネスをやっていく中で、村にいると少し自分が動くだけで反応があること、そして自分でアクションを起こしたことがクイックにカタチになることの面白さにハマっていったんです。もともと住んでいた東京は政治がとても遠い世界でしたけど、嬬恋村は役場の方ともすぐ知り合いになれて一緒にやっていきましょうという話になります。一個人の活動を村が全面的に応援してくれることはうれしいことです。
愛する村のチカラになりたい
私はいま、妻の手しごと以外に、ヘルスツーリズムという心と体の健康をテーマとした観光分野にも踏み出し、事業化に向け、友人と試行錯誤を重ねています。将来的には、土産物販売、ヘルスツーリズムのそれぞれできちんと収益が上がる事業へと成長させたいと思っています。そして、単にモノやサービスを売るだけでなく、それによって仕事がうまれること。村の未来を担っていく若い世代にとって働きたいと思える場所をつくることを目指しています。
東京生まれ、東京育ちで、農家の長男である夫と結婚したことがきっかけでこの村にやってきて30年以上が過ぎました。嬬恋の自然や人の魅力に触れ、育てられながら、人生のかけがえのない時を過ごしたこの村の将来を真剣に考えはじめたとき、いまのような活動をはじめようと思ったんです。まだまだ途中段階ではありますが、今後も自らアクションを起こし続け、村の財産となるものを一つでも多くうみだしていけたらと思います。
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