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最高の天気と、最高の叫びに恵まれた!
キャベチュー2017 イベントレポート
愛妻家の聖地「嬬恋村」
群馬県吾妻郡嬬恋村。「あがつまぐんつまごいむら」と読むこの地域は、北の草津温泉、南のリゾート地軽井沢のちょうど中間に位置する、夏秋キャベツ日本一の出荷量を誇る、人口1万人弱の小さな村です。
その昔、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が亡き弟橘姫(オトタチバナヒメ)を思い出し「ああ、我が妻恋し」とお嘆きになったことに村名が由来し、今では知る人ぞ知る「愛妻家の聖地」として夫婦やカップルに人気を集めています。
キャベチュー
愛妻家の聖地、嬬恋村で毎年開催されているのが「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」通称キャベチューです。日頃感謝の言葉や愛の言葉を口にすることがとても少ない日本人男性に、たまには腹の底から妻への感謝や愛の言葉を伝えようとはじまったこのイベントは、毎年嬬恋村のキャベツ出荷がピークを迎える9月に開催されており、今年で数えて12回目となる村の風物詩です。
愛妻の丘
キャベチューは、嬬恋村の田代という地域にある「愛妻の丘」というスポットで毎年開催されています。整備が行き届いたこの丘は、村民の有志でハート形に花が植えられたり、行政職員が定期的に掃除をしたり、村のアーティストが素敵なオブジェを製作し設置するなどして、造成から10年以上経った今なお、落書き一つなく神聖な空間としてそこに存在し続けています。
たくさんの人に支えられて
日頃のメンテナンスはもちろんのこと、当日のイベントもたくさんの方々が「男の勇気」を後押しすべくお手伝い。ポップの掲示から受付、お土産の準備などなど、主体的に会場を彩ってくれます。
こうした方々の応援があって、毎年最高の舞台が出来上がる。とても嬉しいことですよね。
「大麦」に愛を叫ぶ?
第12回目を迎えた今年は、キャベチュー本番前に、オープニングセレモニーを開催。嬬恋村の地ビール製造店「嬬恋高原ブルワリー(浅間高原麦酒)」とコラボレーションする形で、2年間温めてきたアイデアである「叫ばれビール(仮称)」開発プロジェクトをキックオフ。
「日頃言えない妻への感謝や愛の叫びには、きっと素敵成分が含まれているに違いない。そんな男の勇気が降りかかった嬬恋村産大麦を原料とすれば、きっとピュアで力強いビールになるのではないか」
というアイデアを、実際にやってみようというのが今回の企画です。
オーナー自らが大麦を会場である愛妻の丘に持ってきて、みなさんの真摯な叫びを一身に受けられる場所へとスタンバイ。こういうアイデアを実際に形にしてしまおう!というアクションが、嬬恋村の隠れた魅力かもしれません。
キャベチュー12、ゆるやかに開幕
例年に増して好天に恵まれたこともあり、県内、村内はもとより他府県の市長や、観光商工関係のお歴々がイベントを盛り上げんと参集。
「レディース、アンド、ジェントルマン!ウェルカムツマゴーイ!」
お決まりの村長の挨拶からはじまった主催を代表しての挨拶。よくあるイベントは予定調和なスピーチが続くのが一般的ですが、ここは愛妻家の聖地嬬恋村の愛妻の丘。スピーチの最中に奥様に深々と謝罪を述べたり、いきなり「愛してるよー!」と叫ぶ御仁が現れるなど、こちらも実にユニークなセレモニーとなりました。
不思議なもので、隣の方が愛を伝えはじめると、次々にその熱が伝播し、みなさん日頃感じているパートナーへの感謝を口にしたり、なぜかしきりに反省したりするなど、なかなか普段では見せることのないプライベートな一面を披露してくれた次第です。
ファウンダー事務局長堂々開会宣言
「素直になるってほんと素敵で、どんどんこの場所が神聖なものになっていく」
イベントを思いついた経緯や、たくさんの地域の方々の善意で成り立っている取り組みであること、そしてそれが一度も止まることなくもう12年も続いているということ。
それらの奇跡をみんなで楽しみましょう!の号令を愛妻の丘に集まった有志、参加者、応援者に向けて発信。みなの心がぐっと前のめりになる瞬間です。
司会者の二人も、その言葉を聞き、楽しみましょーうとがっちりハグ。愛を叫ぶ舞台はいよいよ整いました。
恒例の叫びストレッチに、叫び指南
「いきなり愛の叫びをするのはちょっと」という方々のために、毎年全員で叫びの練習をするのが、この叫びストレッチ。
司会者の号令のもと「愛してる、よーーーっ!」と声を揃えてみなで叫びます。
今年のみなさん、極めて叫びレベルが高く。
練習のひと叫びのち、一度の本番でバッチリと決まりました。
全員叫びの後は指南役による愛の叫びです。今年の指南を買って出てくれたのは、日本愛妻家協会のヌイドルさん。その名の由来の通り…
今年もバッチリ脱いで咆哮してました!「少し体がしまったね」などのダイレクトな声も会場にちらほら。真摯な叫びに、会場にいた奥様と、お子さんはきっと何かを感じ取ったに違いありません。
30名のサケビスト、堂々叫ぶ
今年のサケビスト、事前エントリーは5名ほど。だいたい毎年現地でお申し込みされる方が多く、最終的には30名の方々が思い思いに愛を叫んでくれました。
トップバッターは、事前申し込みをしてくれた10月に結婚を控えた若者。嬬恋村出身の奥様を伴侶に迎えるべく、義母の猛烈プッシュでリプロポーズ叫び。キャベチュー前日から緊張が伝わり続けていましたが、素敵な舞台装置のおかげも相まって、堂々の叫びを披露してくれました。
結果は大成功!奥様のこの笑顔が嬉しさを物語っていますね。
人の叫びを聞いても、自分の緊張がおさまるわけではありません。男たちはこの叫び台に足を踏み入れると、表情がこわばり、緊張がピークに達します。
それでも周りの応援者たちの優しい眼差しや、無言のエールに後押しされて、男たちは叫び台の真ん中あたりにくると、覚悟が決まり、清らかな気持ちで感謝や愛を叫ぶのです。
妻を呼び寄せて叫び台で叫ぶ人
山を轟かせんばかりに声を張り上げる人
落ち着くアイテム(自転車)とともに登壇する人
体がなぜかくねくねしちゃう人
それをあたたかく見守る人々
丘にはその都度あたたかい拍手が巻き起こります。
今年特に目立ったのが、ご高齢者のサケビスト。若くてエネルギッシュな叫びも素晴らしいですが、人生の深みを盛り込んだ愛の叫びは心にグッとくるものがあります。
叫ぶ側も。
叫ばれた側も。
みんながあたたかく、そして素直になれる。
それがキャベチューの魅力なのかもしれません。
近年は、女性による叫びも珍しくなくなりました。
2年前、旦那に叫んでもらったお礼を、今年はどうしても叫びたい。そんな思いを持って丘に訪れた人の叫びは、シンプルに、ストレートに心を打ってきます。
恥ずかしいけど、なんだか嬉しい。それが素直な感情なのかもしれませんね。
出店者のみなさまにも感謝を込めて
何もない愛妻の丘で、テントの下を彩ってくれる地元の事業者のみなさんも、とても大切なサポーター。訪れた方のお腹を満たしたり、喉を潤したり、思い出を提供してくれたり、お土産を販売してくれたりなど、大変な準備を苦にもせず、毎年出店してくださっています。
みなさん、いつも本当にありがとうございます!みなさんのおかげで愛妻の丘はいつも賑やかです。
キャベチュー12を終えて
長年続けていると、こんなことが起きます。
「学生時代、素直で素敵な先輩夫婦を見て、私も絶対いい結婚をしてやる!そう誓いました。そしてそれが実った暁には、絶対嬬恋村の愛妻の丘で、愛を叫んでみせる!そう心に決めました。その日が今日ついにやってきました。絶対に幸せになります!今年11月に入籍します!!!!!」
世の中には、なんだか夫婦のアンハッピーな情報ばかりが増えていて、ついつい結婚や伴侶とともに生きることが軽んじられがちだけど、実はそれと同じくらい、いや、それ以上にハッピーなメオトライフを堪能している事例があって、それが伝わったり、感じ取ったりする場があるって、なんだかとても大切なことだとそう思うのです。
叫ぶ人が集まります。
叫ばれる人が集まります。
世代を超えて楽しむ家族がいます。
ファインダー越しにグッときている人がいます
それを見守る人たちがいます。
愛妻家の聖地、群馬県嬬恋村「愛妻の丘」。
次は是非、あなたが彼の地を訪れてみてくださいね。
(文責 日本愛妻家協会 主任調査員 小菅隆太)